相槌なのだと思う

吉野家で豚丼を食べていると、背後に座っていた女性の携帯から着メロが流れてきた。

まさか…と思いきや、彼女はオレの期待を完全に裏切って、その席で通話を始めた。

不快だ。

しかしながら、オレの耳に飛び込んでくる彼女の言葉は奇妙なのだ。

あまりの不可解さに、さっきまでの不快さは瞬時に去ってしまい、今度は頭の中が疑問符だらけになってしまった。

というのは、彼女の受け答えが終始このようだったからだ。

「なんすか?」

「えっ、なんすか?」

「なんすか?」

「なんすか?」

「なんすか?」

「えっ、なんすか?」

「なんすか?」

これはいったい何なのだろう。

電波状態が悪くて、相手の声が聞き取れないのか?

それとも、彼女は電話の相手にケンカを売っているのか?

電話が1度切れた。そして、再び同じ着メロが鳴った。

彼女は通話を始める。

「なんすか?」

「えっ、なんすか?」

「なんすか?」

「なんすか?」

「なんすか?」

「えっ、なんすか?」

「なんすか?」

ホントに、これはいったい何のマネなのだろう。

さらに不可解なのは2回目の電話以降、次のフレーズが加わったことだ。

「なんすか?」

「えっ、なんすか?」

「なんすか?」

「なんすか?」

「わかりますよ」

「なんすか?」

「えっ、なんすか?」

「なんすか?」

わからない。

さっぱりわからない。

彼女の耳元では、いったい何が囁かれているのか?

言葉にならない類の、発声なのだろうか?

「えへぇ」

「なんすか?」

「うふぅ」

「なんすか?」

「いひぃ」

「わかりますよ」

いや、わからない。一層、謎が深まる。

それとも、

板部岡 江雪斎

「えっ、なんすか?」

「武田信玄」

「わかりますよ」

のような、知ってる戦国武将、知らない戦国武将のやりとりなのだろうか?

動機が、わからない。


吉野家を後にして自宅までの帰路、考えあぐねて、このような結論に至った。

「なんすか?」

が、もし、

「ええ」

「はい」

という言葉だったなら、きっと、ごく自然に聞こえたはずだ。

ということは、きっと相槌なのだ。

相槌なのだと思う。
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by riv-good | 2008-05-09 00:23 | ヒトの衣谷さん

約10年の関東生活を経て長崎にUターン。長崎の生活事情や日常に沸き起こる出来事を書き綴っています。歌も歌います。フードアナリスト協会 正会員。何者でしょうか?


by 裕一郎
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