新風、吹き止む -その1-

c0025348_2234692.jpg新年早々、自費出版でおなじみの新風舎が事実上倒産した…とのニュースが報じられた。

実は、オレ、新風舎の作品コンテストで佳作を受賞したことがある。

入選の知らせを受け取った当初から、

(こりゃ、Blogのネタになるぞぅ…)

とヨコシマな思いを胸に秘めて、通知書などを保存しておいたのだが、まさか倒産という話題を皮切りに引っ張り出すことになろうとは、想像もつかなかった。

受賞したコンテストは、2004年に募集されていた「第2回 新聞に載らない小さな事件」である。

新風舎資料によると応募総数は700点。うち最優秀賞が1名、優秀賞が5名、佳作が50名なので、母数が真実であれば、拙稿はなかなか健闘したと言えよう。

当然、自信がついた。新風舎の担当からは「共同出版しましょうよ!」なんていう話も来た。一瞬、自分の作品を収録した書籍が店頭に並ぶ光景を思い描いたりもした。

が、残念なことに、オレは受賞の通知を受けた時点から、アヤシサが気になって気になって仕方なくて、どうしても新風舎を信用する気になれなかった。結局は、共同出版の勧誘を何度も断り、そして最後には担当者からの電話を着信拒否するに至った。

今思えば、そのアヤシサが、虫の知らせであったと思う。


c0025348_2235157.jpg■2枚の賞状

手元に、新風舎から届けられた賞状が2枚ある。

入賞したのは1つのコンテストなのに、なぜ2枚も賞状がもらえたのか?というと、最初に送られてきた賞状の文面が間違っていたせいである。

正確にいうと、1枚がミスプリント・バージョンで、もう1枚が訂正バージョンである。

訂正の内容は、肝心の賞の中身だった。

1枚目の賞状には「作品集への掲載をもって広くその栄誉を称えます」と書かれているが、その最も甘美な響きを含む部分、すなわち「作品集への掲載をもって」が間違いだった。

募集の段階で明記されていたのだが、無償で作品集に掲載されるのは、最優秀賞と優秀賞のみ。佳作の場合は、有償の共同出版になるという。

それを知っていたオレは、ぬか喜びをした。思いがけず本に載ることになってしまい、賞状を片手に小躍りを踊ったものである。

が、後になって、詫び状とともに「作品集への掲載をもって」の箇所が削除された訂正バージョンの賞状が送られてきた。

さほど落胆はしなかったものの、今度は新しい感情が沸き上がった。

「賞状の文面を間違えるとは何事か」である。

あってはならないことだ。

恋人の誕生日に、恋人の名前を、うっかり違う異性の名前で呼んでしまうことくらい、あってはならないことだ。

「その栄誉を称えます」

ちっとも、称えてねぇだろうと思った。

「その栄誉を称えます」という文面が、2枚もある時点でウソなのだ。

日本人がいまだかつて、

「はい、はい」

の二つ返事を、誠意として認めたことがあるか?

唯一無二であるはずの存在が、目の前に2つも存在してしまう事実。この現象が、こんなに陳腐な有様を示すものだとは思いも寄らなかった。【続】
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by riv-good | 2008-01-16 01:01 | 文字中毒

約10年の関東生活を経て長崎にUターン。長崎の生活事情や日常に沸き起こる出来事を書き綴っています。歌も歌います。フードアナリスト協会 正会員。何者でしょうか?


by 裕一郎
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