超魔術DVD

とあるピザ屋のキャンペーンでもらった超魔術DVDには、とっておきの「魔術」が一本収録されています。
c0025348_1481639.jpg画面の中に登場する髭面の男性。彼の指図どおりに手先を動かすと、あら不思議。目の前に置いた物が、いとも簡単にフッと消えてしまうのです。

「物が消えてしまう」なんてごくありふれた手品かも知れませんが、どうもその手のものとは違います。本当にタネも仕掛けもないのですから。

巧みに指を動かして死角を作ったり、服の袖にしまい込んだりと、あくまで消えたように見せかけるのが「手品」であるとすれば、物質の存在をこの空間から瞬時にして掻き消してしまうわけですから、これはもはや「魔術」と言って差し支えないでしょう。

こんなDVDが巷に溢れてしまっては、マジシャンなんて失業してしまうのではないかと心配してしまったほどなのですが、実はちょっとした不便なことに気づきました。

この魔術は、このDVDを観ながらでないと成功しないのです。

昨日はついつい得意気になってしまいまして、恋人の目の前で披露したものの不甲斐ない結果に終わりました。その数時間前まで画面に向かって黙々と練習して、もはや失敗のしようがないことを確認していたはずだったのですが…。

先ほどもう一度、DVDを観ながら彼の手ほどきどおりに試してみたところ、あっけなく成功しました。手応えを確信して、今度は鏡を相手にやってみたのですがダメでした。どうしても、このDVDを観ながらでないとうまくいかないのです。

もしかすると、このDVD自体に「魔術」がかけられているのかもしれません。
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by riv-good | 2005-02-08 23:52 | 掌編小説『瞼の裏側』

約10年の関東生活を経て長崎にUターン。長崎の生活事情や日常に沸き起こる出来事を書き綴っています。歌も歌います。フードアナリスト協会 正会員。何者でしょうか?


by 裕一郎
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