読み聞かせとGT-R

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ここ数ヶ月で、寝る前の読み聞かせが息子の習慣になってきた。

一時期は21時を回っても「おやすみしなーい」と豪語。寝かせるまでが大変だった。それが最近では、あれやこれやと両手に抱えられるだけの絵本を本棚から取り、率先して寝室へと消えて行く。

本を読んでもらうのが、1日を締めくくる儀式として楽しみで仕方ないのだろう。早ければ20時過ぎには読み聞かせモードに入るのだから、以前に比べると眼を見張るほどの変化だ。

近頃のお気に入りはコント…いや『こんとあき』。それから、あっという間のスヤスヤ絵本『おやすみ、ちいさなこ』。

これらが定番なんだけれども、少し前まではこんな本も読み聞かせラインナップに含まれていた。

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『トミカ 1000+コレクションBOOK(3)』

これはたまらない。

なにせ、読むところがない。

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それでも「読んで」と言われれば、一台ずつクルマの名称を読み上げるしかない。

タイトルに含まれる「1000+」のことを想えば、意識が遠のく。1番「ブルーバードSSSクーペ」に始まり、1035番「スバル レガシィ B4 覆面パトロールカー」で終わる。

長旅である。1日の終わりに待ち構える、酷な旅である。

(クルマよりも羊の数をかぞえたい。)

親はそう願った。

しかし最近になって、息子は読み聞かせの醍醐味がわかったようだ。

「読んでもらう本にはストーリー性がある方が面白い」

そうだろう、そうだろう。彼はそう思ってか、いつしかラインナップからトミカ図鑑を外すようになった。やれやれである。

しかし、息子のクルマ好きが変わったわけではない。現在のところの強敵は『NISSAN GT-R』である。

息子がGT-Rというクルマの存在を覚えた頃、日産に勤める知り合いに、それこそ軽い気持ちで「パンフレットください」と頼み、送られてきたのが事の発端である。

ふつうクルマのパンフレットといえば、どういうものを想像するだろうか。見開きの真ん中をホチ留めされた、わりと上質な紙でできた薄い冊子だろう。

しかし、NISSAN GT-Rはわれわれの想像を遥かに凌駕した。止まった状態から時速100kmに達するまで、わずか2.9秒。世界最速の10台にランクインする日本製スーパーカーのパンフレットは違った。

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『NISSAN GT-R』

見た目はもはや写真集だ。エンジンばかりかパンフレットの装丁にまで、"匠"の仕事が施されたかのようである。

読み応えも抜群。写真だけではなく、GT-Rの歴史、開発の背景、スペックに関する薀蓄などなどが小さい文字で記されている。

この点、トミカ図鑑と違って困る。なにせ、読むところが多すぎるのだ。一節を引用すると、このような具合である。
GT-Rの開発は、まずリヤタイヤに必要なグリップ力を決めることから始まった。そのために、リヤタイヤに大きな荷重が加わるようトランスミッションを後方に配置する。つまりトランスアクスル方式を選択した。次は、限界域までニュートラルステアを保ち、ブレーキング時にも車両姿勢をフラットに保つために必要なフロントタイヤのグリップ力と荷重を割り出し、そのための前後の最適重量バランスと重心位置を決めた。そして、最後にエンジンの仕様と搭載位置を決める。つまり目標の性能を実現するために、4輪にいかに荷重をかけるか、どれだけのグリップ力が必要かということをすべてに最優先したのである。こうしてフロントミッドシップのトランスアクスル方式4WDというパワートレインが決まると、次は……

クルマのTV番組「カーグラフィック」を観たことのある人なら、古谷徹の声で脳内再生されたのではないだろうか。

それはそうと、布団の中で目を爛々と輝かせる息子は、「トランスアクスル方式」という用語をいったいどんな気持ちで受け止めているのだろう。

「アクスルとアクセルは似てるけど、違う」

余計な一言を挟んでしまう親も親である。

最後に『NISSAN GT-R』の冒頭を飾るとても印象的な一文を紹介して、この記事を締めくくろう。

あなたは、生まれて初めてステアリングを握ったときの気分を覚えているだろうか?

ツッコミはこの人の声で。

「ステアリングなんて、握ったこともないくせに」

CV: 古谷徹
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# by riv-good | 2017-01-17 12:00 | ヒトの衣谷さん | Comments(0)

屋台ラーメン(味のマルタイ) 2017

このブログで「屋台ラーメン(味のマルタイ)」を取り上げたのは、もう10年以上も前のこと。

当時は九州を懐かしむ立場にあったが、長崎に帰郷すると状況は一変した。

関東では手の届かぬ存在だった「うまかっちゃん」「これだ」などの名作袋麺たちが、いつでもどこでも入手できてしまうせいだ。

もはや空気と同じ存在になってしまった今、懐かしさなんてどこへやら…。

そんなおり、屋台ラーメンがリニューアルしていることに気づいた。

ちなみにこちらが旧版のパッケージ。昭和の老舗感が香しい。

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はい、こちらが現行版のパッケージ。
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袋がメタリックになりキラキラである。以前は「九州味」と曖昧に表現されていた味も、ズバリ「とんこつ味」と断言されるようになった。

そういえば、盛り付け例も派手さを増している。

旧版は紅ショウガと小ネギだ。昭和のインスタントラーメン事情を物語る、ある種の寂しさが漂っている。

かたや新パッケージはどうだろう。煮卵やチャーシューなど花形選手が目白押しだ。ここは桃源郷だろうか。

否、現実世界である。これが平成のインスタントラーメン事情だ。

コンビニに出向いて、袋麺と同じ気軽さで、真空パックされた煮卵・チャーシュー・メンマなどをカゴに放り込めば良い。そんな時代になったのだ。

新パッケージのキラキラはともかく、盛り付け例の豪華トッピングは、何もかもレトルト化された世相を反映していると言えよう。

…。

……。

………トッピング。

そういえば「ラーメンの具」のことを、いつしかトッピングと呼ぶようになっている。「具」に比べて、かなり婉曲な表現を積極的に使うようになった。

この傾向を「具」が他の比喩として用いられるようになったことと結びつけるのは、いささか考えすぎだろう。

「具が見えているよ」と指摘したり、「具が出ちゃいました」と申告したりするときの「具」のことを、トッピングとは呼ばない。

そんなことはどうでもいい。

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さて、袋の中身はというと旧版との変化はない。麺・粉末スープ・調味油の3点セットだ。

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仕上がりはこちら。旧版では調味油を注いだ瞬間、ゴマの香りが立ち上り「出前一丁」を彷彿とさせたものだが、現行版ではゴマの印象がそれほど強くない。

「九州味」から「とんこつ味」と味のポジションを明確にした所以は、ゴマ風味を控えたことにあるのかもしれない。

とんこつ特有の匂いは「うまかっちゃん」に及ばず。「屋台ラーメン」はマイルド路線のとんこつラーメンといえるだろう。

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# by riv-good | 2017-01-11 13:00 | 呑喰道楽 | Comments(0)

【謹賀新年】白ちょろぎ

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新年あけまして おめでとうございます。

今年の正月は長崎の老舗料亭「坂本屋」のお節料理で幕を開けました。

一段でしたが、大人2人で食べるには十分すぎる量。一品一品の味付けが上品で、最後まで食べ飽きないというのには驚かされました。カレーとケンタッキーの出番なし!

さてちょっと気になったのが、黒豆と同じ升に添えられている「ちょろぎ」。

「白い」と妻。

どうやら、ちょろぎは梅酢などでほのかな紅色に染められるのが定番のようです。

「白ちょろぎだ」

ちなみに、ちょろぎというのはシソ科の多年草。江戸時代に中国から伝わったとされ、根っこにできる巻き貝のような形をした部分を食べます。

お節料理のような縁起物の場合は「長老喜」と記すようですが、書き方は様々のようです。詳しくはWikipedia「ちょろぎ」の項目をお読みになると良いでしょう。

ちょろぎとは全く無関係ですが、語感から想像するのはこれです。

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今年もどうぞよろしくお願いたします。

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# by riv-good | 2017-01-06 12:00 | 長崎の呑喰道楽 | Comments(0)

約10年の関東生活を経て長崎にUターン。長崎の生活事情や日常に沸き起こる出来事を書き綴っています。歌も歌います。フードアナリスト協会 正会員。何者でしょうか?


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