屋台ラーメン(味のマルタイ) 2017

このブログで「屋台ラーメン(味のマルタイ)」を取り上げたのは、もう10年以上も前のこと。

当時は九州を懐かしむ立場にあったが、長崎に帰郷すると状況は一変した。

関東では手の届かぬ存在だった「うまかっちゃん」「これだ」などの名作袋麺たちが、いつでもどこでも入手できてしまうせいだ。

もはや空気と同じ存在になってしまった今、懐かしさなんてどこへやら…。

そんなおり、屋台ラーメンがリニューアルしていることに気づいた。

ちなみにこちらが旧版のパッケージ。昭和の老舗感が香しい。

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はい、こちらが現行版のパッケージ。
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袋がメタリックになりキラキラである。以前は「九州味」と曖昧に表現されていた味も、ズバリ「とんこつ味」と断言されるようになった。

そういえば、盛り付け例も派手さを増している。

旧版は紅ショウガと小ネギだ。昭和のインスタントラーメン事情を物語る、ある種の寂しさが漂っている。

かたや新パッケージはどうだろう。煮卵やチャーシューなど花形選手が目白押しだ。ここは桃源郷だろうか。

否、現実世界である。これが平成のインスタントラーメン事情だ。

コンビニに出向いて、袋麺と同じ気軽さで、真空パックされた煮卵・チャーシュー・メンマなどをカゴに放り込めば良い。そんな時代になったのだ。

新パッケージのキラキラはともかく、盛り付け例の豪華トッピングは、何もかもレトルト化された世相を反映していると言えよう。

…。

……。

………トッピング。

そういえば「ラーメンの具」のことを、いつしかトッピングと呼ぶようになっている。「具」に比べて、かなり婉曲な表現を積極的に使うようになった。

この傾向を「具」が他の比喩として用いられるようになったことと結びつけるのは、いささか考えすぎだろう。

「具が見えているよ」と指摘したり、「具が出ちゃいました」と申告したりするときの「具」のことを、トッピングとは呼ばない。

そんなことはどうでもいい。

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さて、袋の中身はというと旧版との変化はない。麺・粉末スープ・調味油の3点セットだ。

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仕上がりはこちら。旧版では調味油を注いだ瞬間、ゴマの香りが立ち上り「出前一丁」を彷彿とさせたものだが、現行版ではゴマの印象がそれほど強くない。

「九州味」から「とんこつ味」と味のポジションを明確にした所以は、ゴマ風味を控えたことにあるのかもしれない。

とんこつ特有の匂いは「うまかっちゃん」に及ばず。「屋台ラーメン」はマイルド路線のとんこつラーメンといえるだろう。

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# by riv-good | 2017-01-11 13:00 | 呑喰道楽 | Comments(0)

【謹賀新年】白ちょろぎ

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新年あけまして おめでとうございます。

今年の正月は長崎の老舗料亭「坂本屋」のお節料理で幕を開けました。

一段でしたが、大人2人で食べるには十分すぎる量。一品一品の味付けが上品で、最後まで食べ飽きないというのには驚かされました。カレーとケンタッキーの出番なし!

さてちょっと気になったのが、黒豆と同じ升に添えられている「ちょろぎ」。

「白い」と妻。

どうやら、ちょろぎは梅酢などでほのかな紅色に染められるのが定番のようです。

「白ちょろぎだ」

ちなみに、ちょろぎというのはシソ科の多年草。江戸時代に中国から伝わったとされ、根っこにできる巻き貝のような形をした部分を食べます。

お節料理のような縁起物の場合は「長老喜」と記すようですが、書き方は様々のようです。詳しくはWikipedia「ちょろぎ」の項目をお読みになると良いでしょう。

ちょろぎとは全く無関係ですが、語感から想像するのはこれです。

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今年もどうぞよろしくお願いたします。

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# by riv-good | 2017-01-06 12:00 | 長崎の呑喰道楽 | Comments(0)

クリスマス会 2016

先週の土曜日、息子の保育園では暦よりも一週間早くクリスマス会が催された。

プロテスタント系の保育園ということもあって、正統なイベントが執り行われる。

クリスマス会は4部構成になっていて、まずはページェントと呼ばれるイエス・キリストの生誕にまつわる演劇。それから牧師さんのお祈りを経て、祝会と称する各クラスの出し物が披露され、会の最後にはサンタクロースがやってきてプレゼントを配る。

まさに半日がかりでキリストの誕生を祝うのだ。

今年のページェントでは息子にも「子羊」の役が与えられていた。ステージ上で6匹の子羊たちが聖歌隊の歌に合わせて踊った。ほんの1分足らずの出番だけれども、12月に入ってからはそれなりの時間を練習に費やしていたようだ。

そういえば、お迎えに行ったとき、先生から息子の歌や踊りについてこう訊かれた。

「大好きみたいですよー。おウチでも歌ったり踊ったりしてるんですか〜?」

している。といっても子羊役の練習とかではなくて、星野源の「恋」とか「Drinking Dance」などの最新曲を歌うし、恋ダンスはおろか他のPVのマネもちょいちょいやっている。

「お父さんも、踊りとかお好きなんですか?」と訊かれたこともあったのだが、そのときは、

「ええまぁ」

と口を濁し、目を逸らした。

ページェントは何事もなく終了。

会場内は我が子・我が孫の出し物を待つ祖父母や父母の熱気で充満していて空気が薄い。連れてきた下の子もヒマを持て余しておとなしくしていないので、牧師さんのお祈りが終わったタイミングで、わたしは園庭に出た。

やがて各クラスの出し物が終わる。クリスマス会はいよいよクライマックスを迎えた。そう、サンタクロースの登場だ。

サンタクロースは、園児一人ひとりに手渡しでプレゼントを配る。これくらいの年齢の子どもたちにとっては、刺激的で忘れられない思い出になるだろう。

さてここで、去年のクリスマス会にやって来たサンタクロースのことに触れておかねばなるまい。

コスチュームは完璧だった。サンタの帽子、サンタの白髭、サンタの服、プレゼントが入っているであろう白く大きな袋。そして台詞の英語も。

しかし、彼は褐色の日本人だった。帽子と髭の間に見える顔や、服の袖から出ている手が、何度目をこすって見ても浅黒いのだ。

「思ってたんと違う…」

率直な感想がうっかり口をついて出た。

今年はどうだろうか。

同じサンタクロースが来るのだろうか。

園庭からは2階の窓の奥に、控室から廊下を伝って会場に向かってくるサンタクロースの姿が見えた。

なんということでしょう。

会場の出入り口の前で立ち止まったのは、去年と同じ褐色のサンタクロースだった。

不意に背後の教室の窓が開いた。学童保育に来ていた小学生が顔を出して口々に言う。

「あのサンタ、誰?」

「あのサンタ、誰?」

学童保育の担任の先生が言った。

「誰って、サンタはサンタでしょうが。ねぇ?」

と、こちらに同意を求められて焦る。

「ええまぁ」

全ての子どもたちの名が呼ばれ、プレゼントが一人ひとりに行き渡ると、サンタクロースと過ごしたひとときもお別れを迎える。

スピーカーを通して司会進行役の先生の声が聞こえてきた。

「サンタさんプレゼントありがとう!お礼にみんなで歌って、サンタさんを見送りましょうね〜」

そうして始まった曲が、これだ。

『慌てんぼうのサンタクロース』

一週間も早く招かれたのに、慌てんぼう呼ばわり。

ああ、サンタよ。

ああ、褐色のサンタクロースよ。

Merry Christmas、楽しいクリスマスを。

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# by riv-good | 2016-12-24 11:03 | ヒトの衣谷さん | Comments(0)

長崎県諫早市出身。約10年の関東生活を経て長崎市在住。長崎の料理や食材のレベルの高さを思い知らされる日々。長崎の食卓事情や日常に沸き起こる出来事を書き綴っています。歌も歌います。フードアナリスト協会 正会員。何者でしょうか?


by 衣谷(ゆう)
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