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浦島海苔を求めて

同僚がKOOLのシガレット・ケースを持っているのを見て、

「あ、それ浦島海苔?」

と、訊いてしまった。

大きさといい緑色といい、ちょうど浦島海苔のパッケージのように見えた。ランチタイムだったし、同僚もまた九州人であるという諸条件が重なって、浦島海苔を持ち歩いている風に見えたわけである。

浦島海苔というのは、九州地方では「知らぬ者なし」とその名を轟かせる海苔の一大ブランドであり、関東における「白子のり」に匹敵する存在であると言えよう。期待にたがわず、パッケージには亀にまたがった浦島太郎があしらわれている。

この日を境に、わたしは無性に浦島海苔を食べたくなった。その夜、実家の母から電話がかかってきたのは、なんたる偶然だっただろうか。

近況報告のついでに、「浦島海苔を送ってくんしゃい」と頼む。そして「まかせんしゃい」と言わんばかりの返事を貰い、電話を終えた。

そして今朝、ついに荷物が届いた。

ダンボールを開けてみたところ、出てきたのがこれだ。
浦島海苔を求めて_c0025348_20592090.jpg

「マルマサ 焼のり 贅卓」

違う。浦島海苔ではない。

まさか、と思う。ダンボールの中をまさぐる。もう1袋、海苔と思しきパッケージが出てきた。

「マルマサ 焼のり 贅卓」

おいっ…。

言葉を失いかけたわたしは、

「ウラシマ」「マルマサ」

ふたつの言葉を何度か口に出して反復してみる。

聞き間違える要素がない。

「ウラシマ」「マルマサ」

聞き間違いでないとすれば、しりとりだろうか。

さらにダンボールをまさぐると、海苔茶漬けと鮭茶漬けが出てきた。

悲しいかな、こちらは正真正銘の浦島海苔ブランド。

だが、お茶漬けだった。

惜しい。

いや、惜しくない。海苔とお茶漬けでは大違いだ。

そんな顛末があり、今わたしの手元には、マルマサ海苔が全部で96枚ある。
by riv-good | 2008-01-20 21:03 | 呑喰道楽

約10年の関東生活を経て長崎にUターン。長崎の生活事情や日常に沸き起こる出来事を書き綴っています。歌も歌います。フードアナリスト協会 正会員。何者でしょうか?


by 裕一郎